小児病院を遊園地にするプロジェクト -ガクビズ異分野協同プロジェクト

美術館か水族館のようだ。背の3倍もある珊瑚や海草の彫刻をゆったりと眺めながら広々としたロビーを歩く。 上を見上げると、巨大なクジラの母と子が! 空間に “泳いで” いる。 1階上の救急待合室では鮮やかな色彩の熱帯魚に引き寄せられる。

シカゴ都心部に完成したルリィ子供病院は海洋イメージあふれるロビーや、 11階に設けられた竹林やシダの香りが漂うスカイガーデン、 その他病室や検査室、廊下やエレベーター、看護婦詰所に至るまで、楽しい「自然」に溢れている。    「病気に対する恐れが少なければ、子どもは早く快復するに違いない。

もしも何か楽しいことや面白いことが病院内で体験できれば、 それらが刺激になって病気や痛みを軽減する助けになるだろう」と、 設計と工事の総責任者ブルース・コミィスキー氏は考え、まず最初の設計の段階で「アートと自然」を柱に据えた。 そして、シカゴ美術館やシェッド水族館、フィールド自然博物館、シカゴ植物園、ジョフリーバレー団、シカゴ交響楽団など、シカゴの23の文化事業団体をスポンサーに取り込んだのである。 彼等は作品を寄付した他、チームを組んで病院内でのアートと自然をテーマとした環境作りに参加、院内は動物や魚、花や木々の写真や絵や壁画で飾られた。

「幼くて病気になった時、日常の暮らしの中で他の人達と同じように行動するのは本当に難しいと思う。 だから学校よりはむしろ病院の方がいい思い出があるわ。だって、病院では誰もが私の事をわかってくれるから」とは、長期間難病で入院した元患者エレンのコメント 。

学校に行かれず、友達とも遊べず、病院に隔離された環境での日々は、子供達にとって心身共に相当厳しいものがあろう。 アドラープラネタリアムでは14階に天体の見取り図を設置、リンカーンパーク動物園は19階に沢山の動物の生態を写真で示し、 子供達の興味を引き込む。

幼い子供たちが多く入院する、小児病院。 その多くは、難病を抱え、病院での生活を余儀なくされている。 病院内や庭を歩ける子供たちがいる一方、ベッドから一歩も動けない子供たちも多い。 患者である子供たちにも、元気な子供たちと同じように、公園で遊べたらどんなに楽しいだろうと夢を巡らす。

私たちにできることはないだろうか? 子供たちが笑顔で入院生活を送れる環境を創ることはできないだろうか? こうして、本プロジェクトは開始されました。

病院内をキッズアートで装飾し、子供たちに安らぎや安堵感を与えることも考えられた。 でも、病院内を夢の空間にすることはできても、遊びは子供たちにとって、とても重要な要素に欠けている。 子供たちにとって、とても楽しく重要なのは遊び。 体験から生まれる共感や刺激こそが、病院内での入院生活の閉塞感を脱する方法ではないか。 それなら、病院に遊園地を創っちゃおう。 え? 危険じゃないの?  ベッドから起き上がれない子はどうするの? 病院はあるの、無かったら新病院建設?

遊園地がある楽しい小児病院があっても良いじゃない
子どもたちの苦しいにゅういん生活をささえるために
楽しくはしゃげる楽しい病院があったって良いじゃない
スピードは遅いけど、あんまり高くはないけど、スリルもあんまりないけど
でも名前はジェットコースター
ゆっくりだけどくるくる回る、コーヒーカップとメリーゴーランド
スリルはそんなにないけどそれなりに早いゴーカート
みんなが楽しめるように、コースター、カップ、馬、くるまに点滴装置や呼吸器もついてるから安心
歩けない子には横になれるキュートなベッドもつけられる
どれにも救急医療具が備えてあるので、いざという時も大丈夫
楽しいことを何も知らずに…なんて許されない

行く手は平穏ではないようだ。 私たちの目的は揺るがない。行動こそが世の中を動かす唯一の方法だからだ。


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