◆総務省が募集する助成事業「異能ベーション」
総務省がITC(情報通信)分野で、「大いなる可能性がある、奇想天外で野心的なICT技術課題に挑戦する個人」を発掘、育成する助成事業「異能ベーション(イノベーション?)」を2014年から開催しています。
「日本は持続的イノベーションが得意な国。物を小さく、速く、世の中を少しずつよくしていこうということに長けているが、これでは破壊的イノベーションは生まれない」
では、国として何をすべきか?
独創性のある技術を生み、育んでいく。
そしてそれに挑む人をどう育てるか。
「どうしたらイノベーションが起こるのかということをまじめに考えて作られたのが「異能VATION」である」という国立研究開発法人 情報通信研究機構の高村氏は、イノベーションを技術革新と訳すのは間違いで、技術をトリガーにして世の中を変えていくことだと定義している。
以前は、「変な人」募集として話題になっていた。その「変な人」からの研究課題およそ10件を採択し、上限300万円として研究費を支給する。
「予測のつかないICT分野において破壊的な地球規模の価値創造を生み出すために、大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスな技術課題に挑戦する人」とは、何とも役所らしい言い回しである。こういう人たちを「変な人」と呼ぶらしい。
総務省が目指しているのは、フェイスブックの創業者ザッカーバーグ氏やスティーブ・ジョブズをイメージしているようだ。
革新的なアイデアや創造性のある才能豊かな人間を育て、地球規模で通用する新事業を創出する狙いである。
募集では「価値ある失敗」を奨励している。
イノベーションは簡単なことではないし、間違いや失敗を改善していくことで新たなイノベーションを創造できる、と考えているようだ。
非常に壮大な計画を描いているようだが、そもそも、「変な人」が国家的プロジェクトとも言える今回の募集に賛同し援助を求めて事業を展開するのか疑問が残る。こういう「変な人」は日本の会社組織からは排除されそうだ。
また、地球規模のイノベーションを実施しようとする開発に対し、300万の助成はあまりに少ないように感じるのは、私だけだろうか。
尚、業務実施機関は民間会社に任せるとして、角川アスキー総合研究所が運営をまとめている。
応募案件の審査は大学の研究者や著名な実業家などが名を連ねている。
今回のような「国の募集アイデア」の方が独創的で、イノベーションのように感じるが。
本当のイノベーションは最初から認められることは稀だし、だからこそ革新なのだと言える。
今回の総務省の募集を否定する気はないが、もし、求めるような地球規模の改革がITC分野で達成されたら、一体誰がほくそ笑むのか?そんなことをふと思ってしまう。
「私たちはこの世界に凹みを入れてやろうと思ってここにいるんだ。
そうでないなら、なんでそもそもここにいる必要があるんだ」(スティーブ・ジョブズ)
こういう変な人が、本当の革新や創造を生み出すのだと感じるのは私だけ…。
Written S.H