この時期に聞こえてくる曲がある。
山下達郎の「クリスマス・イブ」。
1988年、世はバブル絶頂期。
そんな時代に創られたCMがある。
JR東海 X’MAS EXPRESS
1987年、国鉄は民営化され、そのJR初の企業広告がJR東海の遠距離恋愛CMだった。
曲は山下達郎の「クリスマス・イブ」。
このCMは完成度も秀逸であったが、この曲も相まって、ますます、若者の好感度を増した。
その後もシリーズ化し5年続いた。
携帯もLINEもない時代。
コンピューターもまだ一部でしか利用されていなかった時代、
恋人たちはどのように愛を育んだのだろうか?
約束の時間…、本当に彼女(彼)は来るだろうか?
「今、何処?」なんて聞けない時、自分はどうするだろうか?
きっと、いたたまれない時間が過ぎるのを待つしかなかった。
しかも、遠距離恋愛だから、ますます不安も想いも募るはず。
今は、とても便利な時代になったけど、こんな、切ない愛を語れることがあるだろうか。
やっと会えた。不安から解き放たれた感動はきっと心に余韻となって残るはずだ。
恋や愛は、精神的にも物理的にも距離があってこそ、本当の愛が育まれるのかもしれないと、
このCMを観てふと思った。
世の中は、ますます、速度を増して便利になっていくけど、心だけはアナログであって欲しいと思う。
こういうCMはもう世の中に出てこないのだろうか。
この時代に生きた、私たちの親たちを、ちょっと羨ましく思った。